時間がないあなたへ:読書を生活に組み込む「セット化」習慣
読書を習慣にしたいけれど、仕事や日々のタスクに追われて「時間がない」「疲れて読む気になれない」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。まとまった時間を確保するのが難しいと、「読書は自分には無理かもしれない」と諦めてしまいがちです。
しかし、何も特別な時間を作る必要はありません。今すでに行っている「いつもの行動」に読書を少しだけ「セット」するだけで、驚くほど自然に読書習慣が身につく方法があります。
この方法は、心理学で「習慣の積み上げ(Habit Stacking)」とも呼ばれるテクニックを応用したもので、新しい習慣を既存の強い習慣に紐づけることで、実行のハードルを下げることができます。
なぜ「セット化」が読書習慣に効果的なのか?
読書を新しく習慣にしようとすると、「いつ、どこで、どのくらい読むか」をゼロから決める必要があり、これが意外と面倒で挫折の原因になりがちです。
一方で、「セット化」は、すでに毎日無意識に行っている行動をトリガー(きっかけ)として利用します。例えば、「朝食を食べる」という行動の後に「本を1ページ開く」という読書をセットします。これにより、「朝食を食べたら次は本」という流れが自然に生まれやすくなります。
新しい習慣を始めるエネルギーが少なくて済むため、読書が苦手な方や、忙しくて時間がないと感じている方でも、無理なく続けやすいのが特長です。
読書を「セット化」する具体的なステップ
それでは、実際に読書を「セット化」するための具体的なステップを見ていきましょう。
ステップ1:「いつもの行動」を見つける
まずは、あなたの日常生活の中で毎日必ず行っている行動をいくつかリストアップしてみてください。特別な日ではなく、平日・休日問わず安定して行っている行動が良いでしょう。
- 例:
- 朝起きたら顔を洗う
- 朝食を食べる
- 通勤電車に乗る/運転する
- お昼休みにお弁当を食べる/休憩する
- 帰宅してカバンを置く
- 夕食後、テレビをつける
- お風呂に入る
- 寝る前に歯磨きをする
これらの行動は、すでに強力な習慣として定着しているため、新しい習慣をセットする土台として最適です。
ステップ2:「読書」をセットする場所を決める
ステップ1で見つけた「いつもの行動」の中から、読書をセットするのに適した場所を選びます。ポイントは、無理なく短時間でも読書を取り入れられそうな行動を選ぶことです。
例えば、通勤時間が長いなら電車内、朝食の時間は比較的落ち着いているなら朝食後、寝る前のリラックスタイムなど、あなたのライフスタイルに合わせて選びます。
「いつもの行動」の「直後」に読書をセットするのが最も効果的と言われています。
- 「いつもの行動」の直後に「読書」をセットする例:
- 朝食を食べ終わったら → 本を5分読む
- 通勤電車に乗ったら → 本を3ページ読む
- お風呂から上がったら → 本を1チャプター読む
- 寝る前に歯磨きをしたら → 本を1ページだけ読む
最初は短時間・少量から始めるのが成功の鍵です。
ステップ3:「スモールスタート」で始める
「セット化」する読書量は、あなたが「これなら絶対にできる」と思えるくらい極めて小さな量に設定してください。
- 最初の目標例:
- 「毎日5分だけ読む」
- 「毎日1ページだけ読む」
- 「毎日通勤電車で吊り広告を読むくらいの時間、本を開く」
この「スモールスタート」が非常に重要です。最初は「読んだ」という事実を作ることが目的です。「たったこれだけ?」と思うくらいの量から始めましょう。毎日続けられることで、「自分は読書ができる」という自信が生まれ、習慣として定着しやすくなります。
ステップ4:「場所」と「本」をセットで準備する
「いつもの行動」の後にスムーズに読書へ移行できるよう、読む場所や本を準備しておくとより効果的です。
例えば、朝食後に読書をセットするなら、ダイニングテーブルの近くに今読みたい本を置いておく。通勤電車の中で読むなら、カバンの中に本を入れておく、あるいはスマホで電子書籍やオーディオブックを開ける準備をしておく、などです。
この「準備」も「セット化」の一部と考えましょう。「いつもの行動」が終わったら、すぐ手に取れる場所に本がある状態を作っておくことで、「さあ、読もう」と改めて意気込む必要がなくなります。
「セット化」習慣を続けるためのヒント
- 完璧を目指さない: 毎日必ず読めるとは限りません。読めなかった日があっても自分を責めず、「また明日セットしよう」と気軽に考えてください。習慣化は継続が大切です。
- 読む本にこだわりすぎない: 最初は興味のある分野や、ページ数が少ない本、文字が大きい本など、読みやすい本から始めるのがおすすめです。読むこと自体に慣れることを優先しましょう。
- たまには「セット」を変えてみる: もし設定した「いつもの行動」の後に読書するのが難しくなってきたら、別の行動にセットし直しても構いません。あなたの生活リズムに合わせて柔軟に対応しましょう。
まとめ
読書習慣は、特別な時間を作るのではなく、今ある生活の中に自然と組み込むことで、無理なく続けることができます。「いつもの行動」に「読書」を少しだけセットする「セット化」は、忙しいあなたでも今日から始められる簡単な方法です。
まずは、あなたの「いつもの行動」を一つ選び、その直後に「たった1ページ」でも本を開くことをセットしてみてください。その小さな一歩が、あなたの読書習慣の第一歩となるはずです。