読んだ「後」が変わる!小さな気づきで読書が続く習慣
読書を始めたい、続けてみたいと思っても、「本を読んでも、なんだか何も変わらない気がする」「読んでも内容をすぐに忘れてしまう」と感じ、モチベーションが続かないという方は少なくありません。特に忙しい日々の中で時間を捻出して読書しても、目に見える変化や成果が感じられないと、「これって意味があるのかな?」と疑問に思ってしまうこともあるでしょう。
読書から得られる効果は、すぐに大きな変化として現れることばかりではありません。知識が増えたり、視野が広がったりといった変化は、じわじわと時間をかけて現れることが多いものです。しかし、その小さな変化に意識的に気づくことができると、読書の価値を実感しやすくなり、次の読書への意欲に繋がります。
この記事では、読書が苦手な方や、読書してもすぐに効果が感じられないと感じている方に向けて、読んだ本から得られる「小さな変化」に気づき、読書習慣を続けるための具体的なステップをご紹介します。
なぜ「小さな変化」に気づくことが重要なのか
読書の効果をすぐに実感しにくいと感じる理由の一つに、「大きな変化」だけを期待してしまうことが挙げられます。しかし、読書は自己投資であり、そのリターンは必ずしも即座に、劇的に現れるわけではありません。
例えば、ビジネス書を1冊読んだからといって、明日から仕事で劇的な成果が出るとは限りません。小説を読んだからといって、人生観がガラリと変わることも稀かもしれません。
しかし、どんな本であっても、必ずあなたの中に何かしらの「小さな変化」をもたらしています。新しい言葉を知る、今まで考えたこともなかった視点に触れる、登場人物に共感して心が動く、といったことは、すべて読書によって生まれたあなたの中の「変化」です。
これらの小さな変化に意識的に気づくことで、読書の積み重ねが自分の中に確かに何かをもたらしている、という実感を得られます。この実感こそが、「もっと読みたい」「続けてみよう」という次の読書への大切なエネルギーとなるのです。
読書で得られる「小さな変化」の具体例
では、読書によって具体的にどのような「小さな変化」が得られる可能性があるのでしょうか。以下にいくつか例を挙げます。
- 新しい言葉や表現を知った: 本の中で初めて出会う言葉や、心に響く表現があるかもしれません。
- 今まで知らなかった考え方や視点に触れた: 自分とは違う価値観や、物事を別の角度から見るヒントが見つかることがあります。
- 特定のテーマについて少し詳しくなった: 興味のある分野の本を読めば、断片的であっても知識が増えます。
- 共感したり、感動したり、心が動く体験をした: フィクション・ノンフィクション問わず、登場人物や筆者の考えに触れて感情が揺さぶられることがあります。
- 日々の出来事に対する見方が少し変わった: 読書で得た知識や視点が、普段の生活の中での出来事の捉え方に影響を与えることがあります。
- 誰かに話したくなった/教えたくなった: 本で得た情報や感動を、誰かと共有したいという気持ちになることがあります。
- 次に読みたい本が見つかった: 読んでいる本に関連して、さらに深く知りたいテーマや、他の著者の本に興味を持つことがあります。
これらの変化は、日々の忙しさの中で意識しないと見過ごしてしまうほど小さなものかもしれません。しかし、これら一つ一つが、あなたの内面や考え方に少しずつ良い影響を与えているのです。
「小さな変化」に気づくための具体的なステップ
ここからは、読書から得られる小さな変化に意識的に気づくための、手軽で実践しやすいステップをご紹介します。完璧を目指す必要はありません。まずは一つでも、できそうなことから試してみてください。
ステップ1:読む前に「何に注目するか」をゆるく意識する
「この本から何を学ぼう」「この本を読んでどうなりたい」といった、大げさな目標設定は必要ありません。もっと気軽に、「この本、面白そうだな、どこが面白いのかな」「この著者はどんな考え方をするんだろう」「このテーマについて、何か一つ新しいことを知れたらいいな」といった、漠然とした関心や軽い目的意識を持つことから始めます。
これは、本を読む際に自然と脳がその関心のある情報に注目しやすくなる効果が期待できるためです。もちろん、何も考えずに読み始めても構いません。後から振り返る際に、「そういえば、これに関心があったからこの本を選んだんだっけ」と思い出すだけでも、気づきのきっかけになります。
ステップ2:読みながら「気になった部分」に軽く印をつける
本を読み進める中で、「あれ?」「なるほど」「これは面白いな」と少しでも心が動いた部分、印象に残ったフレーズ、知らなかった情報などがあれば、手軽な方法で印をつけます。
- 付箋を貼る
- 鉛筆で線を引く(自分の本の場合)
- ページの角を折る(抵抗がなければ)
- スマホで写真を撮る(図書館の本などの場合)
「全部読まなければ」というプレッシャーを手放し、まずは「気になった部分」を見つけるアンテナを張る練習です。最初は何に印をつけたら良いか分からなくても構いません。何度か試すうちに、自分なりの基準ができてきます。
ステップ3:読み終えたら「一番心に残ったこと」を思い出す/書き出す
本を読み終えた直後、あるいは数時間以内など、記憶が新しいうちに、「この本を読んで、一番心に残ったことは何だったかな?」と考えてみます。
これは、難しい書評を書く必要はありません。
- 「〇〇という言葉を初めて知った」
- 「登場人物の△△の行動に感動した」
- 「□□という考え方は面白いなと思った」
- 「自分が普段当たり前だと思っていることが、違う視点で見ると違って見えることを知った」
- 「このテーマについて、もっと別の本も読んでみたいと思った」
といった、シンプルで率直な感想や気づきで十分です。
この気づきを、ノートやスマホのメモ帳、SNSなどに一行でも書き出してみることをおすすめします。手で書く、あるいは文字として残すことで、脳への定着率が高まり、後から見返した際に「確かにこの本からこれを学んだな」と実感しやすくなります。誰かに話すつもりで頭の中で整理するだけでも、立派なアウトプットです。
ステップ4:日常生活で「読んだこと」との繋がりを意識する
読書で得た知識や視点は、あなたの脳の引き出しに一時的にしまわれます。その引き出しを開ける機会を意識的に作ることが、「小さな変化」に気づく重要なステップです。
例えば、
- ニュースを見ている時
- SNSを見ている時
- 仕事で同僚と話している時
- 友人や家族と会話している時
などに、「あれ?これって前に読んだ本に書いてあったことと似ているな」「あの本で読んだ視点から見ると、この出来事はこう捉えられるな」と感じる瞬間があるかもしれません。
意識していなければ見過ごしてしまうような、本当に些細な繋がりかもしれません。しかし、その瞬間に「読書が今の自分に影響を与えている」というポジティブなフィードバックを得られます。
「読書は、読んでいる時間だけでなく、読んだ後も自分の生活の中で活きてくるんだ」という実感が、読書を続けるための強力な原動力となります。
まとめ:小さな気づきを積み重ねて読書を習慣に
読書習慣を身につける上で、「読んでも何も変わらない」「読書が続かない」と感じてしまうのは、決して珍しいことではありません。しかし、読書は必ずあなたの内に小さな変化をもたらしています。
今回ご紹介した
- 読む前に「何に注目するか」をゆるく意識する
- 読みながら「気になった部分」に軽く印をつける
- 読み終えたら「一番心に残ったこと」を思い出す/書き出す
- 日常生活で「読んだこと」との繋がりを意識する
という4つのステップは、どれも手軽に始められるものです。これらのステップを通して、読書によってもたらされる「小さな変化」に意識的に目を向け、その価値を実感してみてください。
完璧を目指す必要はありません。たとえ1冊の本から一つの気づきしか得られなかったとしても、それは確かにあなたの中に生まれたポジティブな変化です。その小さな気づきを積み重ねていくことが、読書をより豊かな体験に変え、無理なく読書習慣を続けるための確かな道となるでしょう。
まずは今日読む(あるいは今度読む)本から、どんな小さな気づきが得られるか、少しだけ意識してみてはいかがでしょうか。